タグ別アーカイブ: 読書会

言語好きコミュニティー「ことのわ」

HELLO in eight different languages

言語・ことばが好き!というみなさん、

「言語好きの集い:ことのわ」で言語トークやイベントを一緒に楽しんでみませんか。

コミュニティー名の「ことのわ」には、
ことばの話」と「ことばの輪」という意味を込めています。
こんな方々にオススメです!

矢印好きな外国語がある方
矢印日本語ラブな方
矢印方言が好きな方
矢印言語を使った創作、表現が好きな方
矢印読書が好きな方
矢印語学が好きな方
矢印朗読が好きな方

活動は、オンライン&オフラインどちらもありますので、どの地域の方でもご参加できます。
①オンラインその1:Facebookグループ
②オンラインその2:スカイプ、Hangout、Ust等を利用したリアルタイム参加型イベント
③オフライン:読書会、朗読会、お茶会など

オンラインコミュニティー


ことのわFacebookページ

お気軽に参加申請ください😄
・言語関連トピックについての投稿、
・言語関連のウェブ記事・動画等のシェア、
・他の言語好きさんに聞いてみたいことなど、
メンバーのみなさんもどんどん投稿していただけます。

オンライン&オフラインイベント

  • 1つの作品をいろんな言語で読んでみる多言語読書会
  • ワンシーンをいろんな言語の響きで楽しむ多言語朗読会
  • 決まったテーマで言語好きさんとトークする言語トーク会

イベントについてはFacebookグループ以外でも告知しますし、
メンバーでなくても参加できますが、
テーマ決めや希望日程アンケートなどはFacebookグループでとっていく予定です。

Facebookをやられていない方、
Facebookグループに入るのは気が向かないけれどイベントに興味があるという方は、
イベント情報はこのブログやコトオンのTwitterコトオンFacebookページでも告知します。
また、「SNSはチェックしていないのでメールでお知らせが欲しい」という方は、
こちらのお問い合わせフォームより、ご連絡先とご希望をお知らせください。


英語が好き!英語を勉強中!という方には、
オンライン英語サークル「コトコト英語」もオススメ

たくさんの方の参加をお待ちしていまーす!

『星の王子さま』翻訳 多言語比較その2:「誰の利?」

先週土曜に「本のカフェ」で『星の王子さま』の翻訳について多言語比較でお話ししました~😊
ということをTwitterとブログ(この記事)でアップしたら、
いろんな方面からの反応があり、この作品は本当に広く愛されているのだなぁと実感しました。

その多くのみなさんがおっしゃるのが、
やはり王子さまとキツネが出会うシーンが一番印象的だということでした。

写真 2016-01-21 12 59 26

このシーンでオリジナルのフランス語で使われている”apprivoiser”という単語の翻訳について、
イベント内でお話したこと+αを前回の記事に書きました。
今回は、そこで書ききれなかった別のポイントについてお話します。

<それは、誰の利?>

キツネが王子さまに「何を探しているんだい?」と尋ねると、
王子さまは「人間だよ」と答えます。
それに対するキツネのセリフがこちら。

-Les hommes, dit le renard, ils ont des fusils et ils chassent. C’est bien genant! Il elevent aussi des poules. C’est leur seul interet. Tu cherches des poules?

拙訳: 「人か」キツネは言った。「やつらは鉄砲を持って、狩りをしやがる。
まったく嫌になるよ。やつらはニワトリを飼ってて、○○○○○。
君はニワトリを探してるの?」

このC’est leur seul interet.に注目します。
interetは英語でいうところのinterestで、「興味」「利益」という意味です。
この文の翻訳をいろんな言語で見てみましょう。

英語:That is their only interest. (Katherine Woods訳)
オランダ語:Dat is hun enige nut. (訳者不明)
ドイツ語:Das ist ihr einziges Interesse. (Karl Rauch Verlag訳)
スペイン語:Es su unico interes. (Gaston Ringuelet訳)
イタリア語: E il loro solo interesse. (Nini Bompiani Bregoli訳)

文の形はみんな原文のものを踏襲しています。
オランダ語だけ、interest系でない”nut”という単語を使っているのが面白いですね。
nutの意味は英語でいうところのutility(有用性), profit(益、得)という意味なので、
元の単語interetの「興味」という意味を取らずに完全に「益」系にしぼったわけです。

そう、まずこのinteretは「興味」とも「益」とも解釈できる多義語なのですね。
そして、その「interet」は人間のものなのでしょうか?キツネのものなのでしょうか?
この文の形だと、どちらにもとることができるのです。
ここにもまた、両義性。これを両義性なしに明確に翻訳したのが、
現在英語で主流のHoward訳。That is the only interesting thing about them.
「それがやつらの唯一のいいところだな。」(拙訳)
これだと、interetの意味が「興味」であり、
それがキツネにとってのものであるというように、
1つの解釈に絞られています。原文に忠実に訳している英語初訳のWoods訳と、
わかりやすいHoward訳、あなたはどちらがお好みでしょうか?

さて、ここで日本語訳のバリエーションを見てみましょう。

内藤濯訳:それよりほかには、人間ってやつにゃ、趣味がないときてるんだ。
管啓次郎訳:ぼくが興味があるのはそれだけ。
池澤夏樹訳:ありがたいのはこっちの方だね。
大久保ゆう訳:それだけがあいつらのとりえなんだ。

内藤氏の訳は原文の構造そのままの直訳で、
interetは人間のものという解釈になっています。
しかし、文脈から見ると、残念ながらこの解釈は不自然ですね。
 ★狩りをするから人間はウザい(自分が捕まるかもしれないから)
⇒人間の趣味はニワトリ飼育しかない(←ん?狩りもしてるって言ってるのに・・)
⇒君はニワトリを探してるの?(←この流れからはちょっと唐突じゃない?)

管氏、池澤氏の訳は、interetはキツネのものとしていて自然です。
 ★狩りをするから人間はウザい(自分が捕まるかもしれないから)
⇒でもニワトリ飼育しているところはキツネにとってありがたい(自分のエサになるから)
⇒キミもニワトリが目当てで人間を探しているの?・・・という流れ。

そして私が一番好きなのは、大久保氏の訳。
この訳は原文の構造をほぼそのまま残していると言えますし、
しかも「あいつらのとりえ」という言い方だと、
そのinteretが人間のものともキツネのものとも取れるという両義性もあって、
原文の特性をそのまま日本語にも表せていると思うのです!
いや~、あっぱれです。

このシーンには他にもいろいろと面白いところがあるのですが、
ひとまず今回ブログで語るのはここまでにします。

日本語訳のリサーチをして一緒に発表してくれた木村さん
管訳の情報をくださった井上さん、ありがとうございます!

いろんな言語の翻訳を持ってきてくれた友人のしょうこちゃん、ありがとう!

写真 2016-01-23 16 51 24

そして、興味深いコメントをくださった参加者のみなさま、
ツイッターで反応をくださったみなさまにも感謝です!

今後、こういった1つの作品をいろんな言語で読んでみる多言語読書会や、
ワンシーンをいろんな言語の響きで楽しむ多言語朗読会
そして様々な言語好きさんとトークする多言語トーク会などを
オンライン・オフラインどちらでもやっていきたいと思っています。

言語学系の言葉好きさん、
文学系の言葉好きさん、
創作系の言葉好きさん、
外国語に限らず、日本語が好き!という方も、
言語好きな方とことばを楽しむ場を持てたらと思っています。

というわけで、早速コミュニティーを作ってみました!
言葉好きの集い:ことのわ
言語好きな方、参加リクエストお待ちしております!

Facebookをやられていない方、
Facebookグループに入るのは気が向かないけれどイベントにも興味があるという方は、
イベント情報はこのブログやコトオンのTwitterコトオンFacebookページでも告知します。
また、「SNSはチェックしていないのでメールでお知らせが欲しい」という方は、
こちらのお問い合わせフォームより、ご連絡先をお知らせください

ちなみに・・・
「コトオンこあら」は、「コトバのコアなお話をする人々」というような意味でつけた名前ですが、
一応いまのところ仮名です(笑)。

「本のカフェ」で言語トーク☆『星の王子さま』翻訳の多言語比較その1

今日は、作家の木村洋平氏主宰の「本のカフェ」に参加して、
『星の王子さま』の翻訳についてお話ししてきました~。
(▶本のカフェとは

恵比寿のカフェ&レンタルスペース「カルフール」さんにて。
ここはお茶の種類が充実していて、選ぶのが毎回楽しみ⭐

今回本の紹介をしたのは、こちらの面々。

写真 2016-01-23 17 52 33
(左)『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 東江一紀訳
(右)『石の花』坂口尚
(真ん中2名)『星の王子さま』サンテグジュペリ

その本はどんなお話なのか、作者はどんな人なのか、
紹介者さんはどのようにしてその本に出会って、どんなところに惹かれたか・・・・
そんな、それぞれの物語をシェアして、他の参加者のみなさんとお話をする、
ゆるやかだけど刺激的な空間。

通常は1人の方が1つの本について語るというスタイルなのですが、
これからやっていく予定のオンライン言語トークイベントのプチ・デモンストレーション的な感じで、
イレギュラーですが2人での発表をさせていただきました。

写真 2016-01-21 12 59 26

今回扱ったのは、21章で王子さまとキツネが出会うシーンです。
まず、青空文庫の大久保ゆうさんの日本語訳を木村氏と私で朗読。

写真 2016-01-23 17 56 10

木村氏が王子さま、私がキツネ(^ω^)

このシーンの中のキツネのセリフ、
「君(王子さま)とは遊べない。ぼくは○○されていないから」

この○○は原語では”apprivoiser”という単語なのですが、
この言葉にぴったりな訳語がない!・・・ということで、いろんな言語で議論になっています。

第1義が「飼いならす」なので、それを使っている訳もあれば、
「いや、それは不自然だから・・・」と、「なつかせる」という言葉にしていたり、
よりわかりやすい「友達になる」としてみたり・・・
日本語訳の比較はこちらのサイトの表がわかりやすいです。
青いキツネ『星の王子さま総覧』

日本語では本当に多くのパターンの訳があるのですが、
ヨーロッパ言語では、賛否両論ありつつも、みな第1義をそのままとった訳です。
オランダ語(tam)、ドイツ語(zahmen)などのゲルマン語系は英語で言うところの”tame“系、
スペイン語(domesticar)、イタリア語(addomesticare)などのラテン語系は”domesticate“系。
(リンク先でそれぞれの言語の翻訳が読めます)

英語にはtameもdomesticateもあるので、
どちらを選択することも(または他の訳語にすることも)できたはずですが、
初版で大人気を博したKatherine Woods訳も、
現在主流のRichard Howard訳も、
Kindleで読めるI. Mina訳も、
すべて”tame“です。

英語がdomesticateではなくtameを採用していることに関して私が考えているのは、
tameはゲルマン語系で英語にとっては「お国言葉」的なものにあたるので、
おそらく、やや外来語的な響きのあるラテン語系domesticateよりも、
よりキツネのセリフとしてしっくりくるからではないか、ということです。
日本語で例えるなら、和語「おひるごはん」、漢語「昼食」、借用語「ランチ」の中で、
「おひるごはん」という言葉が一番絵本の中のキツネのセリフとしてしっくりくるかな、という感じです。

さて、そんなtameとdomesticateですが、これらはいずれも強制力や上下関係が強く出ている言葉です。
それに対して、「原語のapprivoiserは、もっとフレンドリーな響きの言葉だ!」という指摘があります。
「飼いならす」という意味では、フランス語でも類義語dompterやdomestiquerがあり、
それらではなくapprivoiserを使っているのは、apprivoiserがもっと優しい意味合いだからだ、というわけです。

 <参考意見(リンク先は英語の文献です)>
・Clementine Beauvais (仏英児童文学の研究者、児童文学作家) “The Mighty Child: Time and pow
er in children’s literature” p37

Robert Moss (オーストラリアの作家、元古代史研究者) “The price of Fox’s secret
・Nick Palazzolo (ペンシルバニアの学生) “Called to Friendship”

 

私が仏語ネイティブに聞き取り調査したところによると、
apprivoiserの語感は、
・フレンドリー。「友達になる」と言ってもいい
・相手の内面を尊重して、相手を知ろうとする
・時間をかけて相手との関係性を築こうとする
・詩的な響きがある
という感じでした。

確かに、そうだとすると、「飼いならす」, tame, domesticateはしっくりこない感じがしますね。
ただ、ここで思ったのは、
フランス語にしかこの語感がないということは、
この意味合いは比較的最近生まれたもので、
サンテグジュペリがこの作品にこの言葉を使ったことで新しく生まれたものなのではないか?
ということでした。

フランス語の意味を使われた年代と共に載せた辞書(CNRTL)を見ても
それに関する記述が見つからなかったので検証はできていないのですが、
今日の参加者井上さんによると、そういう説は以前から言われているそうです。

だとしたら、第1義の「飼いならす」を訳語に使って、
その、あるいみ不自然なこの言葉に、
この物語の中で新たな意味を持たせるということが妥当なのではないか、
という意見もよくわかります。ただ私自身は、それでも、「飼う」という言葉が入っている以上は、
新たな意味として「親しくなる」という意味をあててフレンドリーな語として読むのは難しいなぁと感じていて、
それであれば、「なつく」「なつける」あたりが良いのではないかと思っています。

これは、フランス語の単語選択にも同じことが言えるのではないかと思うのです。
仏語でdompterやdomestiquerではなくapprivoiserをとったのには、
前の2語に入っているdomには語源的にdome、つまりhomeという意味があり、
「家のものにする=家畜化する」という語感がぬぐえないから・・・ということがあるのではないかと。
apprivoiserであれば、”learn”(学ぶ)という意味のapprendreと同じ語幹を持っていて、
「時間をかけて関係を作る」という意味合いにしてもしっくりくるのではないかな。
そして、その時間的なことと、内面的な働きかけを含意できる「なつく」が訳語として良いかなと思ったのでした。

このシーンには思い入れがある方が多く、
参加者の方々とのフリートークがとっても盛り上がりました

このシーンの訳に関してはもう1つ注目したいところがあったのですが、
イベントでは時間が足りず、この記事では長くなりすぎそうなので、別記事へ。
(続き⇒ 『星の王子さま』翻訳 多言語比較その2:「誰の利?」

今日のイベントで紹介された本と、
参加者の青木さんが持ってきてくれた『星の王子さま』のいろんな言語バージョン。

写真 2016-01-23 16 51 24

なんと参加者の方々はフランス語が分かる人がほとんどで(!)、
他の言語がわかる人もいたので、言語トークができてすっごく楽しかったです!!(≧▽≦)

オンライン、オンラインで言語トークができるコミュニティーを作りましたので、
どんな言語でもいいので、日本語+もう1つ好きな言語がある方、
ぜひぜひ語りましょう~(*´▽`*)

>>言語好きの集い「ことのわ」

コトオンこあらは「外国語で」ではなく言語について語るコミュニティーです。
英語を使いたい!という方は、ぜひオンライン英語サークルへどうぞ!

>>オンライン英語サークル「コトコト英語」